合気道の安藤毎夫師範にご紹介いただいて
銀座にあるキャノンギャラリーで
民俗写真の大家、芳賀日出男先生(1921-)
の写真展に行ってきました
率直に言うと芳賀先生の感覚が好きです
十三祝 鹿児島県 冲永良部島 1957
芳賀日出男という人からは
どの文化にも公平で先入観のない眼を感じます
宗教家でも本当に格の高い人は
宗派や宗教の種類ではなく
信じる姿勢そのものを肯定すると思うんですが
芳賀先生にはそういうセンスを感じます
格調がある
そして先生の写真ってどこか
合気道っぽいんですよね
生活と宗教、日常と非日常に境界がない
人間の信仰心を肯定する
「神」とは精神のことだと
そう聞こえてきます
なんだか武道の塩田剛三先生を連想してしまう
訪れ神 沖縄県竹富町 1988
冠婚葬祭のほか日常を撮影されてるんですが
卑近さや俗っぽさを感じない
生活臭がない
精神性を撮っているから生活感を感じない
撮影する人もされている人にも
自然への畏敬の念を感じます
「神」は人間の信仰心にこそ宿ると
.
.
こういう写真って今の日本で撮ろうと思っても
撮れないんじゃないかな
現代って例えば、農業するにも
石油が必要ですよね
虫送り 愛知県稲沢市 1957
南方熊楠先生も民俗学者で
植芝先生と間接的に縁がありますし、
民俗学(文化人類学)の考え方はどこかで合気道の植芝思想と繋がっているかもしれません
芳賀先生は現在100歳ですが、若い頃にアメリカのイリノイ州の大学で文化人類学を学ばれて
その後メキシコにも訪れたようで、そこは私と共通しています
私は2年半位アメリカの中西部で人類学を学び、
ネイティブアメリカンやメキシコのマヤの遺跡にも課外授業のフィールドワークでいきました
だから自分の思想ベースも生物人類学や文化人類学の影響が入っている気がします
宇和津彦神社の秋祭り 愛媛県宇和島市 1960
芳賀先生の撮った昭和20〜30年代の日本人は
その多くが仕事で自然と直接接点を持つ
第一次産業の人々です
自然に対しての態度も、この頃と現代の
我々日本人とは違ったのかもしれません
植芝盛平先生につながる、
合気道の達人の安藤毎夫師範から
勧めていただいた芳賀先生の個展
偶然というよりなにか御縁を感じました
稲作 愛知県海部郡 1956